Tuesday, September 29, 2009

SD JUNKSTA -Go Across tha Gami River & Kreva - 心臓





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SD JUNKSTAの面々がそれぞれのソロ作で見せる顔とは違った一面を垣間見せる。"Go Across tha Gami River"が他のクルー物の作品と一線を画している点は、このアルバムが単に自分達の存在をレペゼンしたり、仲間同士でテーマにそってマイクをまわしているだけではなく、「仲間との関係」そのものにフォーカスをあてているところだ。ヤサで仲間と戯れ、愚痴や文句を垂れあって、内輪ネタで盛り上がる。ソロ作で見せる個人のシリアスな一面から、仲間とじゃれあうリラックスした一面へ。"Go Across tha Gami River"は、これまでのクルー物(クルーが注目を受けてキャラ立ちしてから、各々の趣味趣向が反映されたソロ作をつくるという動き)の真っ向から逆を行く。


キック時代から続く"音色"へのこだわりは、NeptunesやTimbalandが全盛だったころの「間を使う」ビートから、Futuristic Swagやダブステップが全盛の今風な「間を埋める」ビートへと変遷を遂げ、立体的な音色の打ち込みと甘美なAORやソウルのサンプル、艶かしい生音のレイヤーが心地よく耳を打つ。Krevaの"心臓"は、国産ではじめて"現在"のUSメインストリームへ対抗できた(Jay-ZやRick Rossなどと並べても遜色ない)、高次元のトラック/メロディを揃えた作品として好事家のなかで語り継がれるであろう、ずば抜けた快作。リリックの内容こそ「大人の男のラブソング」と、今までの路線と変わらないけども、そんな色恋沙汰がもはや耳に入らないくらい自信に満ち溢れたラップスキルとビートのクオリティ。ラブソングだろうが、バラードだろうが、J-POPフィールドのゲストの参加も関係ない。クオリティに裏打ちされた「自信の強さ」さえあれば、優れたヒップホップ足りうることを証明してみせた。USではメロディアスなラブソングをヒップホップに昇華してしまうDrakeが人気を集めているけども、そんな海の向こうの流行すらも"心臓"に太鼓判を押す。