Tha Blue Herb - Life Story
listen here
「俺が"ヒップホップ"を定義する」とでも宣言しているような先行シングルを聴いて、「ひょっとしてBOSSはヒップホップを自分の物にしようとしているのではないか? だとしたら、そんなことは絶対に許せない!!」という猛った気分でいたのだけども、アルバムを聴いてみるとその内容のあまりの物悲しさに言葉を失った。
"I FOUND THAT I LOST"の「何度探しても なくしたものは はっきりしない ないわけはない でもない(略)なくなったんだよ なくしたんだ (略) 俺は言葉をなくす」という言葉の重さがまさにアルバム全体を覆っている。本当にこの曲ひとつでアルバムのイメージがガラリと変わってしまうので、そんなリスクをかぶってまでその「自覚」を告白する必要あったのか?とまで思ってしまう。(少なくとも、"Stilling, Still Dreaming"で「金で買えないものならとっくに俺の手の内にある」といっていた人とはまるで別人なので、ガッカリする人もたくさんいるだろう。)
"I FOUND THAT I LOST"の喪失感の「重さ」は、他の楽曲を経て、"Life Story"の中で倍増していく。リスナーの期待の重圧。新世代に取って代わられるかもしれない重圧。「何かを表現しなくてはいけない」重圧。そして実際に錆びついてしまっている「言葉」と「テーマ」の鈍重さ。