Sunday, January 01, 2012

2011年"ときチェケ"レコード大賞14作品

ハッキリ言って、他のどのメディアやブログを見ても同じようなリストになっているので、あまりリスナーの皆様の参考にならないと思われる2011年"ときチェケ"レコード大賞リスト。でもまぁ、どのメディアも同じ作品を挙げているということは、逆に言えばコレだけ聴いておけば2011年は大丈夫ということだ。…とお茶を濁して、2012年もよろしくお願いします。


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■勝ち組部門
・Jay-Z & Kanye West "Watch the Throne"
・Drake "Take Care"
"Otis"のPVに出てくる改造車をひと目見ただけでも、私たち一般庶民には「俺らめちゃめちゃ金と持っているぜ」感を存分味わえるが、本作『Watch The Throne』をつくるためにホテルの1フロアを貸しきり、各プロデューサ陣に1部屋ずつ与え、ジェイ御大とカニエ先生が自分たちの部屋に1人ずつ呼び出してビートのダメ出しするという部活合宿のセレブ版制作スタイルを聞き、2012年勝ち組大賞を与えることを決定。毎度、作風を変えながらも決して軸がブレないお2人には頭が下がります。
勝ち組部門もう1つのノミネート作品は、Simi Labの"Uncommon"ばりに「非リアって何?非モテって何?」と迫ってくるようなアルバム『Take Care』。愛に飢えてしょうがないモテ男の苦悩(そんなもん知るか!)を色気たっぷりのあま~いコーティングで固めた『Take Care』には勝ち組部門リア充大賞を与える。


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■ハイプ部門
・Tyler, the Creator "Goblin"
・ASAP Rocky "LiveLoveA$ap" :download
・Main Attrakionz "808s & Darkgrapes II" :download
サマソニ出演が決まり日本でもロックファンを中心に広いプロップスを得たODD FUTUREの中核タイラーさんの『Goblin』には日本ベストハイプ賞、アンダーグラウンド感(≒アマチュア感)ばりばりの"Peso"が耳の早いリスナーから支持を集め始めたかと思った次の瞬間には2億3000万円のディールを勝ち得ていたA$APさんに世界ベストハイプラッパー賞を進呈。「Aesop Rockと名前が似ていて紛らわしいね」とか言っていた頃が早くも懐かしい。
 ベストハイププロデューサ賞はMain Attrakionz 『808s & Dark Grapes Ⅱ』。『Live Love A$AP』はあくまでラッパーがメインで素材がそれを支えたクラウドラップ作品だけども、『808s & Dark Grapes Ⅱ』はメイン不在のなか、Squadda Bの人脈を手繰り寄せてありとあらゆるトラックメイカーをぶち込んだ闇鍋。それでも、下手糞なラップも含めて見事にハーモナイズしているあたり、さすが時代の寵児といったところか。


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■クオリティ&コンセプト部門
・Lil B "I'm Gay"
・Kendrick Lamar "Section 80"
・G-Side "The ONE​.​.​.​COHESIVE"
『I'm Gay』、『Bitch Mob』、『BasedGod Veli』、『The Silent President』、『Illusions Of Grandeur』、『I Forgive You』、『Evil Red Flame』、『Black Flame』、『Gold House』……2011年もいったい何枚のミックステープをリリースしたのか正直その全てを追え切れている自信もないLil Bさんが2010年に引き続きノミネート。しかも、それらすべてのコンセプトや音楽性が微妙に変えられ、違った印象を残すところも流石。それぞれがミックステープの海賊盤っぽさというか、アマチュア感("Based"って"アマチュアリズム"ってことなんじゃない?)を残す中、商業リリースなだけに一番まともでパッケージ感とコンセプト力のある『I'm Gay』に賞を送りたい。
あとは、Lil Bとは真逆に隙という隙がなく、純粋に作品的なレベルが高いKendrick Lamar『Section 80』とG-Side『The One』を聴いておけば良いんじゃないでしょうか。この2名には新人賞を与えます。"新人"じゃない?いいんだよそんなの。


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■ギャングスタ部門
・AraabMuzik "Electronic Dream"
・Waka Flocka Flame, Trap-A-Holics "DuFlocka Rant (10 Toes Down)" :download
・Meek Mill, DJ Drama "Dreamchasers" :download
実はほとんど毎年「果たしてヒップホップなのか?」と疑問を持たれる作品をリストに入れているのだけども、その"麒麟枠"にAraabMuzikをセレクトイン。他人のヒット曲へアマチュア感丸出しなリミックスを施しただけで、あたかも自分の手柄扱いする姿勢がベストギャングスタということで。
あとは、Lex Lugerのビートを用いずとも充分"金太郎飴的なパンクミュージック"を量産するWakaさんと、RickRossからディールを得てヒット作を連発するくらい運気がまわってきた感のあるMeekさんが入賞。Wakaさんはメジャーからディールを得ようとも同じようなパンクミュージックをギャングスタイルで作った前例があるけど、果たしてMeekさんはメジャーからスタンスを崩さず良作をクリエイトできるか?


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■負け組部門
・Danny Brown "XXX" :download
・Mr. Muthafuckin' eXquire "Lost In Translation" :download
・SPVCXGHXZTPVRRP "Blvcklvnd Rvdix 66.6 (1991)" :download
ドラッグとセックスに塗れながら何の充足感もなく30歳になってしまった絶望と怨念だけがパッケージングされた『XXX』が負け組部門の堂々たる大賞を獲得。成功への道をひた走るMac Millerに対して「(もしMac Millerに会ったら)オマエのことが嫌いすぎて申し訳ないと言いたい」とインタビューで答えるって、どんだけリア充が嫌いなんだ。あとコレをベストラップアルバムに選ぶ批評家各位も相当病んでいると思う。
SPACEGHOSTPURRPのビデオ(http://www.youtube.com/watch?v=xcgHmVgzPzw)とMr.Muthafuckin' eXquireのミックステープジャケは不気味すぎて、「往年のアンダーグラウンドヒップホップからの影響云々」とか多くを語らずも負け組と認定。