Sunday, April 23, 2006

Keak Da Sneak - Contact Sport






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異様にアルバムの数が多いと思ったら、本人のふところにきちんと金が入るアルバムが実は3枚くらいしかないらしく("Sneakacydal", "Hi-Tek", "Copium")、"Kunta Kinte(仮)"なる正式なアルバムが用意されているさなか、同名の"Kunta Kinte"(通称"Fake Kunta Kinte")がいずこかからリリースされていたり、今年に入ってからも既に3枚もそれぞれ別のレーベルから収録曲が過去の音源とかぶりまくりのCDが出ている 中国人ミュージシャンのごとき渦中にあるKeak Da Sneak。その3枚の中でも特にKeak本人がmyspace上で発売を差し止めたかったが叶わなかったと言い、直々に「買うな!」と呼びかけている曰 くつきのアルバムがこれ。

「"Super Hyphy"がヒットしたし、全曲"Super Hyphy"みたいにしたら結構当たるんじゃねえ?」というようなことをリリース元が企んだかどうかは定かではないが、本作は"Super Hyphy"の変調でしかないような曲が山もなく谷もなく平坦なまま延々と反復する。全曲"Super Hyphy"の変調でしかないので、その異形のフロウから放たれる隙間だらけのKeakのラップは、1小節目だろうが15小節目だろうが、別の曲の26小 節目だろうが、フック以外はどこを抜き取っても同じようにしか聴こえないGKマーヤンかBig-Zのごとき様相。きっと、ランダムに適当な曲からカット &ペーストしてきても意味が通じなくなるくらいで音楽的には何の影響もないだろう。そのKeakを迎え撃つは、やはり"Super Hyphy"的な隙間だらけのワンループかツーループ程度のシンセでそっけなく作られたトラック郡。みだりに自己主張したりせず装飾的であることも拒絶 し、「隙間だらけのラップに一番合うのは隙間だらけのトラックだ」とばかりにKeakのラップを引き立てる役割しか果たさず、気づけ ば、Keakの意思とは無関係に金儲けの道具としてリリースされたアルバムにもかかわらず、ハイフィームーヴメントに浮かれる金の匂いなどは なく、腰を落ち着けて隙間を隙間として放置することを美学とするようなストイックさと、同じようなループが延々と反復するヒップホップにおける究極のミニ マリズム的世界観のみが心に残る。

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