Tuesday, September 16, 2008

Young Jeezy - The Recession






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「ストリートには自分を嵌めようとする奴らがいて、一方ブッシュは執拗に国民を苦しめつづける。アメリカは不景気で無職で溢れ返りこの世は地獄。だが、俺には生き抜く力がある」 たったこれだけのことを75分にも渡ってジージーは叫び続ける。

"不景気"と銘打たれたこのアルバムは、まるで全米がその名の意味を再確認しているかのように堅実に売れ、結果的に08年度ラップアルバムセールス2位を獲得。でもそれは、「リングトーンはどうでもいい。ラジオプレイもどうでもいい。女向けの音楽なんか糞食らえ。内容さえ良ければ人は買う」というジージーの愚直な理想主義の産物だというよりも、あらがいようもなく下り坂を転げ落ちていっているアメリカ全国民が一点の曇りもなくアメリカ全土を照らし出すかのようなジージーの「俺イズム」に何かしら見出すものがあったからだろう。

まるで天から降り注ぐような神々しさを持つジージーの「俺イズム」を彩るのは、高らかに勝利を謳うホーン、敵味方関係なく威嚇する32分ハットと何層にも重なる声のレイヤー。そのカタストロフィックな音の洪水をジージーは自由自在に操ってみせ、ただ自分の力だけを誇示する。小難しい理屈や説教や言葉遊びは地獄では役に立たないし、自己の探求や精神の救済はメシの種にもなりゃしない。不況下を生き残るためには先ず第一に「力」だと言い切ってしまうこの説得力はどうだ?

ジージーのファンだと公言するマイケル・フェルプスに向かって「フェルプスは競泳界のジージーだ」と臆面無く言ってのけてしまう図々しさも、ラッパーなら当たり前のいつものブラフだと笑って切り捨ててしまっても別に構わない。だけど、「俺がこの不景気をなんとかしなければいけない」と勝手に本気で責任を背負い込んでいるこの男がフェルプスと同じくらいアメリカ国民に「希望の光」をともしている事実を否定することもできない。

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