Tuesday, May 18, 2010

微熱メモ vol.9 - Alley Boy "Definition Of F*ck Sh!t"とKLOOZ "NO GRAVITY"などミックステープその他諸々について




大半のビートを手がけるArkatech Beatzの渋めでメロウなビートがダークな色合いとざらついた叙情性を醸し出し、同じくLil Nealがプロデュースするトーンの低いFuturistic系トラックが抑えられた凶暴さを演出する。どこからともなくあらわれては消えていくミックステープアーティストの中で、いつの間にか"次のミックステープが待たれるラッパー"になっていたAlley Boyと、2010年上半期ベストと名高いミックステープ"Definition Of F*ck Sh!t"について詳しい人は一体どれくらいいるのだろうか? Alley Boyとは一体何者なのか?

Gucci ManeやYoung Droといったアーティストとのコネクションを持っているにせよ無名のAlley Boyがここまで"次のミックステープが待たれる優れたラッパー"となったのには、アトランタから発信される音源に精通しフックアップするブログの力が大きい。毎日のように何曲もアップロードされる音源やPVを追い、何人ものアーティストのミックステープをウォッチするブログの記事は、ほとんど毎日アップローダーやYouTube、Vimeoのリンクで更新され、その情報は物凄い勢いでOlder Postへながれていく。その激しい情報のフローの中でインパクトを残し、頻繁に顔を出すことのできるアーティストこそが"次のミックステープが待たれるラッパー"になる条件だ。

結局のところ、「Alley Boyとは一体何者なのか?」を取り上げるメディアなんか無くても、そしてそんな情報を得る場が無くても、ブロガーが織り成す"情報のフロー"を追い求めるリスナーは次のミックステープを待ち望む。「刺激的な音源を発見してダウンロードをする」ことが目的ならば、アーティストや作品やシーンの動向を掘り下げてナレッジを提供するメディアは必要ない。ただネットを繋いだときに最新の情報がデスクトップにあらわれて、その情報の先に音源がPVがリンクされていればいい。

日本でも海外と同じようにミックステープを無料配布するアーティストがあらわれてきたけども、彼等をリアルタイムでフックアップできている有力なメディアがネットを含めてどこにも存在しない。少なくともKLOOZやAKLOやCHERRY BROWNのミックステープアルバムをリアルタイムで追ってダウンロードしているリスナーの情報元は既存のメディアではない。

彼等のミックステープ情報を得られる場はネット上に限られている。しかも本当にリアルタイムで知りたいのであれば、Twitterを活用している必要がある。いままでは雑誌やウェブの"場の情報"に自らアクセスする必要があったけども、いま何か最新の情報を得たいのならばTLに好き勝手にながれる"情報のフロー"を眺めているのが一番効果的なのは間違いない。

きっといまのミックステープシーンの動向を知らないリスナーはたくさんいるだろうし、KLOOZ、AKLO、CHERRY BROWNといった新世代の面々の名前を知らない人もいるだろう。彼等のニュースは"場の情報"としてではなく、個人個人のTwitterに発信されて、TLの"情報のフロー"の一部から認知されていっている。いままでの"場の情報"よりもかなり小さく限定的なところに流れる"情報のフロー"をとらえることができているか否かが、彼等にアクセスできるかどうかの分かれ目になっている。言うまでも無くそこにアクセスできる人とできない人では、情報の見え方がまったく異なっている。

雑誌やWebZineなどの"場の情報"から、動画や音源のリンクが乱立するブログやTwitterの"情報のフロー"へ。きっとブログやTwitterのフローの速度に従い、シーンへの共通認識もどんどん薄れて拡散していく。なぜなら、いまTwitterで私達が見ている"シーン"のかたちは、自分個人のものでしかないし、自分とまったく同じ情報を享受できている人など本当にごく一部に限られているのだから。



関連ダウンロード

Alley Boy "Definition of Fuck Shit"
http://www.mediafire.com/?jymmtkuymmd

Klooz "No Gravity"
http://klooz.bandcamp.com/

Saturday, April 03, 2010

Lil B



どんな音楽にも作家性は宿る。作詞/作曲がされていなくても、歌やラップがのっていなくても、雑音だろうが無音だろうが、音楽作品として世の中に出されて作成者の名前がクレジットされている以上は、そこからクリエイターの意思と個性を読み取ることができる。音楽の持つ"作家性"をそう捉えれば、レコ箱に埋もれている楽曲をつなぎ合わせて作られるビートにだってもちろん作家性は宿っているし、曲をつくらないDJのミックスにも同じものがあるはずだ。トラックメイカーからビートをもらってそこにラップをのせる時、ラッパーがクリエイトしているのは何もラップだけではない。ラップをのせるビートはトラックメイカーの作品かもしれないけども、ビートをチョイスして世の中に発表するのはそのラッパーに他ならず、そこに彼のセンスが加わっている以上は、ラップだけでなくその下で鳴っているビートにも彼(ラッパー)の作家性は宿る。

他の時代に他の場所で他の誰かがつくった曲を切りはがして、他の材料と貼り付け直すことで新しい音楽を生み出す"サンプリング"がヒップホップの革新的な発明のひとつだという言い分を、ヒップホップに少しでも興味がある人であれば1度は聞いたことがあるだろう。「音楽理論を知らず、楽器をひくこともできない」プロデューサーたちがつくっていた音楽は、逆に言えばレコードと機械があってボタンの押し方さえわかれば、楽器をひける必要も、楽譜を読める必要もない音楽だった。そして、そのサンプリングの"敷居の低さ"こそが、老若男女問わず様々な地域から才能を呼び込み、多様なベクトルの音楽性をその懐に取り込んで、ヒップホップの表現に大きな可能性を与えたのだ。だとすれば、同じく数多のアーティストが毎日のようにローコストで製作して、ネット上にアップロードしているミックステープの"敷居の低さ"にも何かしらの可能性があるのではないか。

たとえば、ミックステープ"Based Blunts vol. 1"を発表するまでの間、既に1000以上の曲をつくり、100を超えるmyspaceに楽曲をアップしていたLil B。膨大な数の曲をまとめた幾つかのミックステープで垣間見ることのできるLil Bの音楽性はまさにカオスそのもので、ガバやロックの上でラップをしたかと思えば、Dose Oneがつくるようなノンビートのアンビエント・アルバムを2作立て続けに無料で発表し、その一方で他人のトラックでラップした正真正銘のミックステープを有料で配信したりする奔放っぷり。

そもそも90分以上あってCDに収めることもできないミックステープをiTunesに平然とリリースしたり、ソロアルバムをリリースすることには目もくれずmyspaceに楽曲をアップしまくったり、ミックステープをつくったはいいけど曲順が決められていなかったり、楽曲をつくる以上にPVを撮りまくっているような姿勢に「ヒップホップをクリエイトする」という概念そのものを覆そうとするLil Bの意図を深読みすることもできるが、それ以上にきっと多くのリスナーはミックステープやmyspaceで聴くことができる"捉えどころのないスタイル"に興味を惹かれるはずだ。

テクノ、ロック、ソウル……あらゆる音楽をジャックして自分のスタイルにしてしまうLil Bは、ヒップホップのビートだけでなくアンビエントのメロディまでを自身でつくりだすことのできる才能にも、Clams CasinoやSquadda BやEmyndといった先鋭的なビートをつくるトラックメイカーにも恵まれているが、果てしなく膨張していく彼のスタイルはLil Bとその仲間がプロデュースした楽曲が幹になっているというよりは、ジャンルどころか地域性も時代性も選ばない「どこかの誰かがつくった音楽」すべてを源泉として、それを乗っ取ってしまうことで確立されている。

"楽器をつかって演奏"したり、"機械をつかってビートを作る"のだけが音楽をつくる方法ではない。"他の誰かの曲を乗っ取ってしまう"方法でも同じように自分の音楽をつくることができる。他の誰かがつくったドープな曲は勝手にジャックして自分の曲にしてしまえばいいし、それが飽きたら別のものに乗り換えればいい。ラップをのせるための楽曲を「イケている」と思って選んだのならば、その曲には自分のスタイル(作家性)が顕れている。自分のスタイルを表現することへコストをかける必要は無いし、昨日までのスタイルを使い捨てする行為に勿論罪は無い。

存在を世の中にアピールしつづけなければならないアーティスト達は日常的に新しいスタイルをジャックして、自分のスタイルが他の誰かにジャックされるサイクルに身を置いているため、楽曲のモードがどんどんシフトしやすく流動的になっている。いままでのスタイルを保守する、あるいは構築/発展させていくというポリシーを持った鈍い動きのアーティストがいる一方で、スタイルを使い捨てて乗り換えていくモード志向のアーティストがこれから先もどんどん現れてくるだろう。ミックステープというフォーマット特有の構造と、アップローダーやコミュニティサービスから成るネットワーク・インフラはアーティストのスタイルを"守る"ものから"乗り換える"ものへ概念を大きく変えている。

何も「革新的」という言葉は、ラップやビートの音楽性やアプローチに対してだけに使われる言葉では無い。少なくともLil Bは、Anticonが多様な音楽性をヒップホップへ取り込んで育んだ"白人のヒップホップ"のスタイルよりも、さらに幅広い音楽性をジャックして攪拌させたような複雑に入り組んだスタイルを獲得できている。









関連ダウンロード

Digital Dripped - Lil B Archives
http://www.digitaldripped.com/lilb.htm

Lil B "Based Blunts vol. 1"
http://www.megaupload.com/?d=AH5128EY

Lil B "Paint"
http://limelinx.com/files/07a359ce5df56a5a2b7e0c905ea73988

Lil B "Dior Paint"
http://limelinx.com/files/1b7117ecdf02bfbafd50b5f4063427b4

Lil B "Based God" (Unofficial)
http://www.zshare.net/download/707414460ee0ba7b/

Friday, February 26, 2010

AKLO - 2.0 & RHYMESTER - MANIFESTO





download here
+ listen here

前作"A DAY ON THE WAY"からわずか3ヶ月、AKLOがドロップした新しいミックステープ"2.0"は恐ろしくエコなつくりだった。Lil Wayneのミックステープ"No Ceilings"(→ダウンロード)からほとんどのビートを拝借し(しかも本人曰く原曲を聴いてすらいないのもある!)、そのまま曲タイトルをAKLOなりに解釈したラップを載せただけ。USミックステープ文化を踏襲してつくったローコストでインスタントな内容だけども、そこには日本人が直訳してしまうことで生み出されたウッカリした面白味が溢れていた。

その面白さは、"Forever"での1人4役ラップ挑戦みたいなものより、CMだらけのメディアに「貧乏臭い」と形容してみせるところや、女をはべらせながら酒やシロップやコカインやマリファナで時間を無駄遣いするパーティー賛歌"Wasted"を「DJがつまらないから悪酔いするんだ」と悪態つきながらナンパにあけくれるクラブライフをボースティングするリリックに変えてしまうような、"カッコいいものとダサいもの"を完璧に区別してコントロールできているような万能感の中にある。FatBoiやKEの刺激的なビートに日本語のラップが載っているだけではない、日本人の感性とアメリカ人の感性が交錯したようなスワッグ――クールでカッコいいのだけども果てしなく馬鹿馬鹿しい感じのスタイルが、いままでには無い目新しい武器となってリスナーを魅了する。いまUSで鳴っているビートとラップを日本語ラップに置き換えてしまえばまだまだ広げられる表現の幅がある。おおよそ考えて作りこまれたとは思えないこの"2.0"はUSヒップホップの延長でしかないような簡素なつくりだからこそ、日本語ラップが持っている"余白"をより際立たせて見せてくれる。


"MANIFESTO"の中心テーマは、先行シングルの"ONCE AGAIN"が示すとおりのものだった。アルバム全体を通して、40代に差し掛かろうとするベテラン中年ラッパー達が日本語ラップという音楽表現へ真正面から挑む、ちょっと感動的な内容。そのため"ONCE AGAIN"や"ラストヴァース"といった曲に象徴的な、中年親父が日本語ラップに持つ想いや夢をそのままリスナーへの応援歌にしてしまったようなアツい印象がアルバムを覆うが、このアルバムの持つ「前向きさ」は寧ろ"再挑戦"する彼らが自分達のキャリアを振り返り振り返りながら進んでいく姿を通してこそ強調されている点に着目したい。

この作品の随所に見られる"キャリアを振り返りながら前に進んでいく"姿勢は、「大切なのは創意工夫を続けることだ」だとか「ぐだぐだ言う前に何かをやれ」というともすればオッサン臭い説教になりかねないメッセージを、自分達の経験から来る教訓として万人へ伝えるための術となり、自分達の見てきた景色や感じてきた想いを単なるノスタルジーではなく、前に進むための"通過点"としてポジティブなビジョンに変えるフックとなる。"自分の過去や経験を振り返る"、"他人へ自分の意志や想いを伝える"という一見すればとても簡単なことを日本語ラップというフォーマットから幅広い人々に受け取ってもらうためにはどうすべきか。キャリアを積んだベテラン達がその一点の課題に心血を注いだであろうこの"MANIFESTO"には日本語ラップを世に広めていくための"余白"を埋める方法が色々な形で織り込まれている。

Sunday, January 17, 2010

2009 wasted

あいかわらず09年もダサさとカッコよさが表裏一体となった作品が多かったがその中から最高にクールで最高に馬鹿げた人たちを4人。

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■ Gucci Mane "ぜんぶ" :listen

"we don't get fucked up no more we get wasted"と言うように金と時間と才能をひたすら無駄遣いするGucci Maneの魅力とは多様化して一筋縄ではいかなくなったヒップホップの姿を、彼のラップだけで体現できてしまっているところにある。大量のミックステープやリミックスワークにクロスオーヴァーするどんな難解なビートもGucciのラップの前ではすべてコントロールされ、先鋭的なビートはより先端を行くヒップホップミュージックとなる。歌詞も同様、その辺のコンシャスなラッパーよりも複雑なライミングやシリアスなストーリーテリングができようとも、そのほとんどを「俺の時計はダイヤだらけで時間も確認できねえ」みたいなどうでもいいジュエリーやドラッグの話に費やし、無意味なダサさとファッショナブルなクールさが同居した数々のパンチラインを産み落とす。その馬鹿馬鹿しいカッコよさはオールドスクールのヒップホップにも通じるが、不思議なことに他のどんなラッパーからの影響も感じさせない。


■ Waka Flocka Flame, Trap-A-Holics "Salute Me or Shoot Me 2" :download
■ LA Da BoomMan & Roscoe Dash, DJ Millz "Southern Takeover" :download

母親がGucciのマネージャーだからというだけのコネでGucciにラップを教わり、ラップをはじめてたった一年で地元をロックしているWaka Flockaは短期間でスターになったその初期衝動と高揚感で巨大なフラストレーションを爆発させる。錯乱したアルペジオ、痙攣したスネアロール、電波ソングの合いの手のようなアドリブ、Thug FamilyのTOPのようなシンプルでナンセンスなフック、どこを切り取ってもぎゅうぎゅうに音がせめぎあっていてまるで落ち着きが無い。そんな Waka Flockaの暴虐的なスタイルに感化されたかどうかは知らないが、Rosce DashとLA Da Boommanのスプリットミックステープでは、K.E.自らがカラフルな万華鏡のような広がりを持つFuturistic系の音をレーザーのように鋭角的に圧縮し、よりシャープなストリート感を持つビートに作り上げた。そんな鋭いビートの上で、Rosce Dashが調子に乗って女こどもに向けてリア充自慢を繰り広げる歌は不愉快さと紙一重な感情を掻き立て、その不愉快さを相殺するためにはさまれるLA Da Boommanのラップは何故かただひたすらにキモい。両極端に鬱陶しい2人のラッパーの自己主張は他のFuturistic系の人たちが人畜無害に思えてくるほど。


■ Hudson Mohawke "Butter" :listen

一年間これといった進展がなかったビート(Wonky)シーンでは、Hudson Mohawkeが従来の小奇麗で厳粛なWonkに80'sのR&Bやヘヴィメタルのシャープなドラム、Just Blazeのスピード感といった大味でダサいテクスチュアを織り合わせ、荒唐無稽な音楽を作ることでその存在感をアピールした。そんなHudson Mohawkeのカラフルにゆがんだメロディは、アトランタのFuturistic系やブリストルのダブステップとの不思議なシンクロニシティを遂げ、"ダサい"と"カッコいい"が両立することを多角的に証明してみせる。


関連ダウンロード

■ Gucci Mane, DJ Holiday "Writing on the Wall" :download
■ Gucci Mane "The Gooch" :download
■ Gucci Mane, DJ Drama "The Burrprint" :download
■ Gucci Mane, DJ Drama, DJ Scream, DJ Holiday "The Cold War" :download
■ Gucci Mane × Mad Decent "Free Gucci" :download
■ Waka Flocka Flame, Trap-A-Holics & DJ Ace "Salute Me or Shoot Me" :download
■ Waka Flocka Flame "Official Trap Label" :download
■ Various Artists "ATL RMX" :download


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■ Pill, DJ Skee & The Empire "4075: The Refill" :download
■ Freddie Gibbs, DJ Skee "Midwestgangstaboxframecadillacmuzik" :download
■ G-Side "Huntsville International" :download
■ Playboy Tre "Liquor Store Mascot" :download

07,8年のLil Wayneの猛攻から無名だったDrakeの成り上がり、Gucci Maneの果てしないプロップスの拡大まで、"サウスの音楽性+ミックステープの流通システム"の方程式は何にも欠かせないものになりつつある。それに伴い、有名無名の多くのプレイヤーがそのトレンドになだれこんだが、その中でも音楽性云々というより社会的テーマを意識的に作品に落とし込み、それをオーセンティックに表現できていたアーティスト4組をピックアップ。彼等は夢も希望も見出し難いどうしようもない状況の中でもがきつづける。莫大な予算が宇宙事業に注ぎこまれる町の片隅に放置されたゲットーに暮らすG-Side、映画館もショッピングモールも何もない廃墟と化した犯罪都市インディアナ州ゲイリーからInterscopeと契約したものの何もリリースできずに契約を解除されたFreddie Gibbs、T.I.等にフックを売りながら日銭を稼ぎ酒を飲みながら身の周りのやりきれないゲットーの様子をぼやく中年のPlayboy Tre、ヤク中の母親の死に直面しながらもどうにかドラッグディールで糊口をしのぎ知人の家を転々としてギリギリの生活を営むPill。ミックステープという媒体だからこそ辛うじて世間から注目を浴びるようになった四者四様のタフなプロダクションとハードなリリシズムはこの時代にこそ生まれる"クラシック"といっても過言ではない。


関連ダウンロード

■ Pill, DJ Burn One "4180: The Prescription" :download
■ Freddie Gibbs "The Miseducation of Freddie Gibbs" :download
■ Playboy Tre "Goodbye America" :download
■ Rob Breezy "Huntsville Alabama 2 – The Return" :download




■ Drake "So Far Gone" :download somewhere

インターネット上でのミックステープ配布でシングルチャート2位までのし上がったDrakeは、その"軽さ"では他の誰より勝る。ラッパーとしてはKanye WestとLil Wayneの劣化コピー以上の何物でもないし、ヒップホップや音楽の造詣に詳しいとも思えない。それでも、このミックステープにおけるLykke Li、Peter Bjorn & John、Santogold、DJ ScrewといったトラックのセレクションやアルバムにSadeを呼びたいという発言、"Forever"での豪華なマイクリレー企画の発案に、アーティストぶらない立ち振る舞い、これら全ては、Drakeが「何を仕掛ければ他人から趣味が良いと褒められるか」を熟知しているが故のもの。知識やスキルなどといった"深さ"の部分ではない、センスとフットワークの"軽さ"こそが大衆の心を掴むものだということを理解しているDrakeは、輪郭のぼやけたパッドと鈍く持続する808キック/サブベースに包まれた"軽く"て優れたポップミュージックを産み落とし、フリーのミックステープという"軽い"媒体を使って短期間で世界中の人々へその音楽を認めさせた。




■ U2K, DJ BUN "NIPHOP" :listen
■ AKLO, DJ UWAY "A Day on the Way" :download
■ Cherry Brown, Lil'諭吉 "Supa Hypa Ultra Fres$shhh 3" :download

大豊作だった08年は日本語ラップ作品のなかでもベストを絞り込むのが難しかったため、日本語ラップ枠を別に設けて10枚セレクトしたのだけども、09年は一転してこの3つで充分と判断。この3つに共通するのは現行のUSメインストリームに通じるプロダクションの新しさと、若い才能が+αのエネルギーとなって露出している点。リアル志向の作品も目新しさが無くなり、アーティスト個々の少しの差異に物語を見出さなければならなくなった09年は「深いリリックが書けて、共感できる内容になっている」かどうかよりも、「イケてるビートをチョイスして、カッコいいラップが載せられている」ことの方に目配せできている作品こそが新鮮に映るになった感がある。それは同時に日本のトラックメイカーの力量が問われるタームになってきたということでもあり、Hammer Da Hustler、Lil'諭吉、B.T.REOあたりの動向は10年もチェックしていきたい。

Tuesday, December 29, 2009

Futuristic whatever

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数ヶ月前にTHE SOURCE日本版vol.2で、90年代後半のアンダーグラウンドヒップホップと現在のミックステープシーンの類似性についての小さい記事を書いた。インターネットとCD-Rの普及によって無名なアーティストがレーベルの力に頼らず自分達だけの力で作品をリリースしてリスナーから発見されていった過程と、オンラインストレージサイトやyoutubeから楽曲をばらまいてリスナーから注目を集めていく構図は"DIYでリスナーを獲得する"という部分でまったく一緒だが、「ヒップホップの主流から逸脱していく」という変態的な特性でも非常に似通っていて、ときどき既視感を覚える。

90年代後半のLAアンダーグラウンドでは、グッドライフカフェ周辺のラッパーが他のMCのスタイルとの違いをつけるために、歌なのかラップなのかわからないような独自のフロウを1人1人身に着けていた。聴き取れないほどの早口スタイルや、つんのめるようなスタイル、ダラダラ気だるく漂うようなフロウ……それは、当時LAアンダーグラウンドシーンが実験精神にあふれ、才能のあるMCが数多くいたからこそ発展していたラップの型だった。同様にいま、多すぎるプレイヤーの中から埋没しないために個性に磨きをかけ、鼻歌とラップの境目のようなへばりつくフロウを練りあげ、かっこいいと蕩れるよりもキモいと眉をひそめるひとの方が多そうな変態的なラップ―「Futuristic Swag」や「Blackboy Whiteboy」と呼ばれるようなスタイルがアトランタから日々開発されている(LA Da Boommanの発声がBusdriverに似ているのも何らかのシンクロニシティだろう)。

アンダーグラウンドヒップホップの中心的な存在だったANTICONは「黒人がつくるヒップホップではない、白人のヒップホップとはどういうものなのか?」という命題へ真正面から向き合っていた。彼らは白人が好んで聴くロックやポップミュージックに接近し、キックもスネアも無いフラットなドローンやノイズに鼻歌をのせたようなものまでもを"ヒップホップ"として成立させてみせ、オーセンティックな"ヒップホップ好き"とは異なる、オルタナティブな音楽を好む層までもをファンに取り込んだ。彼らがつくるヒップホップにはファンクネスが微塵も無いのだけども、実験精神が根底に流れる秀逸なアートとして成立していた。

Yung L.A.やYoung Dro、そしてTravis Porter、Roscoe Dashに代表されるようなアトランタの一部のラッパーがつくるヒップホップにはANTICONと同様に過去の白人音楽が取り入れられている。しかし、彼らは白人文化に「Black Boy Swag, White Boy Tags」という謎のお題目をかかげ、ファッション/スタイルの方向からその音楽を吸収し、ストリートやクラブで鳴るパーティーミュージックに仕立てあげた。決して煌びやかな極彩色のネオンにはなりきれない、16bitのゲーム音楽のように歪に断片化されたファンシーなメロディーとループ。それはHudson MohawkeやNeil Landstrumm, Gemmyなどから芸術性を根こそぎ引き剥がしたようなダサさスレスレの肉感的なビートとなって、ストリートミュージックとしても説得力のある凶暴さと万人が楽しめるコミカルなエンターテイメント性までもをほとんど偶然に獲得できている。

彼らがつくる音楽にはファンクネスというより、実験精神が頻繁に顔をのぞかせるという意味でANTICONとほとんど同じで、もはやヒップホップと呼べるものなのかも極めてあやしいが、ヒップホップ以外にカテゴライズできる場所がない。10年前のアンダーグラウンドシーンと現在のアトランタシーンの違いは、10年前にネットを利用していたアーティストは白人のインテリやナードばかりだったのに対し、いまネットを利用してプロップスを得ようと行動しているアーティストは郊外やゲットーにいるハスラー/ヤンキー/学生/中年親父などにそのバックグラウンドが変わった点だ。その相違点には、アーティスティックな音楽性に惹かれる"オルタナ音楽ファン"が拒絶反応を示す下水溝のように大きな隔たりがあるけども、その下水溝の先にはより猥雑でより尖ったユースカルチャーを追い求めるビートマグロな音楽ファンを魅了できる光が差し込んでいるように思える。


関連ダウンロード

Rich Kids "Money Swag"
http://rapidshare.com/files/318245179/RK_-_MS.rar

Travis Porter "I'm A Differenter 2"
http://www.megaupload.com/?d=X90GLTY4

J. Money "Mr. Futuristic"
http://www.zshare.net/download/5632106227e4ca10/

Young Dro & Yung L.A. "Black Boy White Boy"
http://rapidshare.com/files/181900811/....rar

Yung L.A. "I Think I Can Sang"
http://limelinx.com/files/f1798b0e971b3896c581fec7af20a400

J. Futuristic & Yung L.A. "Batman & Robin (Superhero Language)"
http://rapidshare.com/files/320886882/....rar

Kirby Tha Hottest "I Got White Friends EP"
http://www.megaupload.com/?d=85PQGS8V

DJ Scream & K.E. presents LA Da BoomMan
http://www.mediafire.com/?mmkgtitwyjm

LA Da BoomMan & Roscoe Dash "Southern Takeover"
http://www.sendspace.com/file/o1rvur

Juney Boomdata "Futuristic South Stars"
http://www.sendspace.com/file/ntxmk9