Sunday, October 08, 2006

Lupe Fiasco - Food & Liquor






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『既に早まる死期(四季)(手記)』にも書かれていたとおり、ムスリムでアニオタでスケーターでメガネ男子属性を兼ねそろえたルペたまは、萌えキャラとしての完成度だけでなく、その作品もたまげるほどの出来なのである。

数年前の蟹江とジェイ社長の衝撃によりコンシャスでタイトでファットでストリートな作品が巷に満ち溢れ、どの作品もすべからく文句のつけようの無いクオリティに息苦しさを感じていたのは私だけではないはず。右を見ても左を見てもツッコミを入れる隙のない優等生な作品ばかり。そんなものより今の時代に必要なのは萌え要素だ。コモンもルーツもGFKもTIもアウトキャストも萌えが足りない。

かといえば、アンダーグラウンドはもうメインストリームとやり合う気もないのか明後日の方向に行くアテもなく走りだすだけならまだしも、親父の髪より薄い内容の作品を牛の糞のようにボロボロ垂れ流す始末。06年も後半に差し掛かり、既に怒りを通り越して明鏡止水の精神にまで達していたところ、ついにルペたまという麒麟児がやってきた。

ルペたまはラッパーというより萌えキャラなので黒人的なファットでタイトなラップは似合わないし、やらない。アニオタらしくナーディで、スケータらしくイキってる感じの味のあるラップが武器なのだ。無論、トラックも土臭くてホコリっぽいものは好まないので、清涼感あふれるさわやかなR&B風のモテ系トラックが彼の飛び道具。"I Gotcha"のような大きくバランスを失しているビートも、同じようにバランスが崩れているルペたまのラップが乗れば丁度良い塩梅に曲がビシり立つ。「HIP HOPらしさ」から離れたところで独自のカッコ良さを追求した曲で構成されたこのアルバムには「黒さ」も「白さ」も無く、甘くてクールなビートと舌足らずにスピットされるラッピンに「萌え」があるだけ。

R&BにHIP HOPが殺されかけた時代(?)もあったようだが、HIP HOPがHIP HOPらしさのみを磨き続け、カウンターとなるべきインディペンデントシーンが自律神経失調症気味な現在でこそ、自信のある独自の美意識が一際輝きを放つ。たとえどんなにチャラくても風通しを良くする、「クラシック」とはこういうアルバムのことを言うのである。

(余談だけど、"Daydreamin'"のジャケはルペたまの魅力を伝えるのに充分すぎる。)

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